- ルーカスの初先発は、何が悪くて、どこに希望が残ったのか
- 8安打1得点に終わった阪神打線の本当の課題
- 木下、石黒、湯浅、モレッタの中継ぎ陣が示した収穫
- 森下翔太の好調さがチームに与えている意味
- 次戦以降、阪神をどう見ればいいか
4月1日のDeNA戦は、スコアだけを見ると阪神の1対4敗戦だった。連勝は3で止まり、先発ルーカスは来日初先発で黒星を喫した。結果だけ追えば、立ち上がりで試合を苦しくし、打線もあと一本が出なかった、よくある敗戦に見える。
ただ、この試合はそれだけで片づけるには惜しい内容でもあった。ルーカスには確かに不安が残った一方で、2回以降に修正の気配もあり、後を受けた木下、石黒、湯浅、モレッタは試合を完全には壊さなかった。負け試合の中でも、次につながる材料がかなりはっきり見えたのである。
打線も全く沈黙したわけではない。阪神は8安打を放ち、森下翔太は3安打1本塁打。それでも1点止まりだったのは、クリーンアップ不振というより、上位打線の停滞と、チャンスで線になり切れなかったことの方が大きい。そこがこの試合のもどかしさだった。
試合結果
GAME RESULT| 項目 | 阪神 | DeNA | ポイント |
|---|---|---|---|
| 得点 | 1 | 4 | 得点効率の差がそのまま勝敗に直結 |
| 安打 | 8 | 8 | ヒット数は同じ |
| 失策 | 0 | 0 | 守備のミスで負けた試合ではない |
| 先発投手 | ルーカス 4回2/3 4失点 | コックス 6回1失点 | 先発の立ち上がり差が大きい |
| 阪神救援陣 | 4回1/3 1安打0失点8奪三振 | — | かなり高評価できる内容 |
| 森下翔太 | 4打数3安打1本塁打 | — | 打線の中で別格の存在感 |
| 近本・中野 | 8打数1安打 | — | 上位打線が線を作れなかった |
| 森下・佐藤・大山 | 10打数5安打3四球 | — | クリーンアップはむしろ動いていた |
試合の流れ
GAME FLOW先頭の牧に四球を与え、度会、筒香、佐野に続けて出塁を許した。無死のまま3点を失い、試合の入りとしては最悪に近い形になった。ただ、その後は蝦名を併殺に打ち取るなど、これ以上の大量失点は防いでいる。
初回の乱れのあと、ルーカスはストレートを低めに集める場面が増え、2回から4回は試合を壊さずに進めた。ただし3回、宮崎に左中間へのソロ本塁打を浴びて0-4。この4点目が非常に重かった。
近本の内野安打をきっかけに、森下、佐藤が続いて二死一、三塁。ここで大山まで回したが、得点にはつながらなかった。ここで1点でも返せれば空気は変わっただけに、かなり痛い無得点だった。
5回表、無死一、二塁のピンチを招いたが、ルーカスは筒香、宮崎を連続三振に打ち取った。ここで球数が106球に達し降板。あとを受けた木下が佐野を左飛に抑え、追加点を許さなかった。ここは敗戦の中でもかなり大きな踏ん張りだった。
木下の火消し成功は、試合全体の中でも価値のある場面だった。ここで追加点を取られていれば試合はほぼ決まっていた。敗戦の中でも「まだ行ける」という空気を保てたのは、この一死のおかげでもある。
0-4の6回、森下が左越えソロ本塁打。打球の強さも含めて、いまの森下の状態の良さを象徴する一発だった。これで1-4となり、試合が完全なワンサイドにならずに済んだ。
大山の右前打、木浪の左中間二塁打、代打髙寺の四球で一死満塁。ここで坂本が三振、近本が左飛に倒れ、得点ならず。数字以上に「ここを逃したら苦しい」という場面で、まさにその通りの展開になった。
8回は森下の右前打と大山の四球で再びチャンスを作ったが、あと一本が出なかった。9回は山崎康晃の前に三者凡退。反撃の芽は最後まで残したが、DeNAにプレッシャーをかけ切るところまでは届かなかった。
勝負の分岐点
TURNING POINTS7回裏の一死満塁はこの試合最大のチャンスだったが、坂本三振・近本左飛で無得点。ここで1点でも入っていれば、DeNA側の継投や守り方も揺れていたはずだが、阪神はそこで押し切れなかった。
選手ごとの評価
PLAYER EVALUATION| 選手名 | 評価 | 良かった点 | 課題 |
|---|---|---|---|
| ルーカス | C+ | 6奪三振。2回以降は大崩れせず修正の気配 | 初回の制球難。106球で5回を持たず |
| 森下翔太 | S | 4打数3安打1本塁打。唯一の得点源 | 勝敗に直結する追加の一打までは届かず |
| 佐藤輝明 | B+ | 1安打。4回の好機拡大に貢献 | もう一発ほしい試合だった |
| 大山悠輔 | B+ | 1安打2四球で3出塁 | 4回の好機で返せなかった |
| 木浪聖也 | B+ | 2安打。7回の二塁打で最大の好機を演出 | 走者を返す役割までは果たせず |
| 木下里都 | B+ | 5回二死一、二塁で火消し成功 | 登板数を重ねた時の安定感は今後の課題 |
| 石黒佑弥 | A− | 2回無安打1四球4奪三振 | 先頭四球は改善余地あり |
| 湯浅京己 | B | 1回1安打無失点 | 完全復調かはまだ見極め段階 |
| モレッタ | A− | 1回3者連続三振 | 点差のない場面でどうかは今後 |
| 近本光司 | C+ | 1安打で出塁 | 1番としては物足りない1試合 |
| 中野拓夢 | C | — | 無安打。2番でつながりを作れなかった |
データで見るポイント
DATA ANALYSIS特に大きいのは、「両軍8安打なのに阪神は1点しか取れなかった」という事実だ。これは打てていないのではなく、打てた場面が点につながらなかった、という敗戦であることを示している。
しかも上位打線が8打数1安打だった一方、3番から5番は10打数5安打3四球だった。つまり「クリーンアップ不振」ではなく、「打線全体が線として機能しなかった」試合だった。
投手面では、ルーカスが4回2/3で106球。1イニングあたり約22.7球を要しており、先発としては明らかに球数が多い。それでも6奪三振を記録し、2回以降は本塁打の1失点だけに抑えた点をどう見るかが、次回登板評価の分かれ目になる。
今後どう見るか
OUTLOOK即二軍や即リリーフ転向まで言い切るのは早い。来日初先発で4失点は厳しい結果だが、6奪三振を取り、2回以降はある程度立て直した。次回登板で初回からゾーン内で勝負できるかどうかが最大の焦点になる。ここで同じ崩れ方をするなら再考だが、今回だけで結論を急ぐ内容でもない。
木下、石黒、湯浅、モレッタの並びは、この試合だけで見てもかなり前向きな材料になった。特に石黒は、単なる「無失点」ではなく、空振りを取れる形を見せたのが大きい。こういう投手が増えると、先発が苦しい日に試合をつなぐ力が一段上がる。
悲観するより整理して見るべきだろう。森下、佐藤、大山はこの試合で一定の仕事をした。問題は、そこへ至るまでの流れだ。近本、中野が止まると、阪神打線の圧力はやはり落ちる。逆に言えば、この2人が戻れば、今回のような「8安打1点」はかなり減っていくはずだ。
さらに明るい材料として、立石正広は4月1日に両手でのティー打撃を再開していた。まだすぐ一軍という段階ではないが、打線の上積み候補が前に進んでいるのは間違いない。今の阪神は「もう終わりだ」と見るチームではなく、「どこをどう上積みするか」を見る段階にある。
- 阪神の敗因は、ルーカスの初回3失点と、8安打を1点にしかできなかった打線の分断だった。
- ただし、森下翔太の好調と、木下・石黒・湯浅・モレッタの中継ぎ陣は、敗戦の中でも明確な収穫だった。
- 悲観一色の負けではなく、次の登板、次の打線のつながりを見たくなる1敗だった。
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